夢は、語って語ってかたり尽くす。

まちづくりを民間の目線から行う有志のボランティア組織があります。「JC」。青年会議所のことです。
会員の年齢は20~40歳限定。若者のまっすぐな情熱を社会に活かしていくという理念のため、あえて年齢制限を設けています。
私がJCに入会したのは、26歳のときでした。先輩に誘われるまま、運命に流されるように。
いまでこそ言えますが、私は入会するまで、JCという組織の存在は知っていても、どんな活動をしているかは知りませんでした。

いざ入ってみて、驚きました。
三鷹市はもともと、市民意識の高い土地柄ですが、JCのメンバーは、それに輪をかけてさらに意識と知識のレベルが高かったのです。
他の地域と比べて、明らかに違いが分かるほどでした。

「これはまずい。きちんと勉強しなければ、うっかり意見も言えない」
ただ若かっただけの自分が、地域、まちのことを真剣に学び始めた、最初のきっかけだったかもしれません。

大好きな三鷹を、どうやったらもっと良くできるか。
そんな思いを抱く中、私の目に、ある光景が飛び込んできました。
駅前の自転車公害です。
商店街の狭い道、そのいたるところに自転車が止められ、雑然として乱れている。

「自分たちのまちなのに、一体なにをやっているんだ…」
何とかしなければいけない。
どうにかしたい。
三鷹JCのトップを目指したのは、そんな、私の思い描く「まちの姿」を実現したかったからなんです。
JCというフィルターを通して、「三鷹をこんなまちにしたいんだ!」という思いを発信し、行動したかったからです。

写真:「駅前自転車公害クリーン作戦」の様子

三鷹JCの理事長になり、私はさっそく「駅前自転車公害クリーン作戦」を開始しました。駐輪場の設置を計画し、マナー改善を呼びかけ…。最も手強かったのは、誰あろう、商店の方々でした。自転車を止めようが放置しようが、商店まで来てくださり、買い物をしてくださる人はみんな「お客様」。もし商店街での駐輪を制限すれば、お客様が来なくなる、お客様に失礼だという懸念があったのでしょう。

説得には時間を要しました。
何度も何度も足を運んで、話を聞いてもらいました。
ただ話すだけでなく、私が抱く「まちづくりへの夢」を、とにかく語りました。
私が言ってダメなら、先輩、後輩、友人知人を通して語ってもらいました。
自分の夢を、人を区別することなく、あらゆる人に語るうちに、やがて、夢は現実となっていきました。

三鷹のあらゆる地域の人たちと知り合えたのは、私の大きな財産です。
福祉や教育関係者の方々と多面的なつながりができたことが、井の中の蛙である私の視野を大きく広げ、考え方を磨いてくれました。

人とのご縁、そして仲間を、全力で大事にする。
それが私の芯です。
仲間には、考えていることを脚色したり、耳障りの良い嘘をついたりすることはいっさいありません。
そして、言ったことは実行します。
人と出会ったときに、短い付き合いになるのか、長い付き合いになるのか、それは分かりません。
だったら、最初からありのままの私でぶつかっていこう。人間関係を築くのに、かっこつけなんて、いらないんです。
出会った仲間たちは、飾らない付き合いの中で、私の辛いところも痛いところも、ちゃんと理解してくれます。その上で、弱点を手厚くフォローしてくれて…。
本当に、感謝しています。